2012年5月9日水曜日

テニス肘

 テニス肘(ここではバックハンドテニス肘)は、手首を伸ばしたり、反らしたり前腕を外に捻る動作を繰り返すことにより、肘の外側に負荷がかかり、炎症が起こり痛みで生じます。

テニス肘

(メルクマニュアル家庭版より拝借)

下のバックハンドテニス肘のほうです。テニス肘っていう病名がついているのは、テニス愛好家に多いからです。

バックハンド

こんな感じの打ち方です。筋力が弱い、使い過ぎ、無理な打ち方をしている、フォームがおかしいなどで、テニス肘になります。

テニスをしたり、腕の筋肉を使い過ぎてというように、はっきりと原因がわかっていれば、治療をしても比較的治りが早いです。
安静にして、炎症を抑えれば、しだいに痛みが引いてきます。

鍼治療に関しては、炎症局所(外側上顆の集中的な鍼)の消炎鎮痛の鍼、前腕伸筋に対する筋緊張緩和の鍼を併せて、治療を進めていきます。

しかし、テニスをやっていない、運動もしていない、なのに肘に痛みがあって、雑巾をひねったり、ドアノブを回した時に痛みが出る。病院にいってテニス肘と診断されるも、いっこうに痛みがひかないという方が多くいらっしゃいます。

使いすぎでもないのに痛みが出る、安静にしていたら治ると言われて安静にしているのに、まったく変化がない…。注射をしても、鍼で上記の治療をしても変化がない。う~んと思案します。

こういった場合、頚に問題があることが考えられます。

頚からでた神経は、鎖骨の下を通り、腋を抜け、腕にいきます。そしてその神経は、大きく三つに分けられます。
橈骨神経、尺骨神経、正中神経

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少しわかりにくいかもしれませんが、腕の外側を通る橈骨神経は、ちょうど肘の外側を通っています。頚から出た神経が肩、腋、上腕を通りますが、このどこかで障害があるために、肘のあたりに痛みが出るんではないかと考えられます。

障害があるなら、橈骨神経麻痺が起こって、下垂手になったり、橈骨神経支配領域の知覚消失があるんじゃないかと思われるかもしれません。僕が思うにそこまでの障害ではないから、痛みとして出ているんじゃないかと考えられるのです。

これ、なんで頚や腋が問題で症状がでているというのがわかりにくいかというと、テニス肘の徒手検査(チェアテスト、コーゼンテスト、ミルテスト、詳細はこちらhttp://www.joa.or.jp/jp/public/sick/condition/lateral_epicondylitis.html)などをしても陽性反応が出るんです。そのため、テニス肘の治療を続けるのですが、いっこうに変化がみられない。

うちの治療所では、3例のテニス肘患者さんが、頚からが原因で痛みを出していました。これに関してもたった3例なので、まだまだ考察が必要ですが、長期間テニス肘で悩まされている場合、頚部や腋などを疑って治療してみるのもいいかもしれません。

3例の患者さんは、テニス肘と診断され、半年~1年間ほど肘の治療をされていました。共通して、テニスはしませんし、腕を使う運動や動作は少ないとのことです。

臨床で治療をしていると、治療成績が良くない場合があります。もちろん、僕自身の技術不足や経験不足、知識不足もありますが、教科書通りでないことが多々あるんです。これも、根気よく治療に通ってくれた患者さんのおかげでわかったことです。日々勉強になりますね。



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