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2012年2月5日日曜日

痛み

 以前「痛み」というのは、漠然とした言葉で、なかなか他人には伝わりにくいものと書きましたが、今回は人それぞれ痛みの感じ方に違いが出るのは何でなのか?というのを書いてみたいと思います。

そもそも、痛みというのは大きく分けて、するどい痛みと鈍い痛みに分かれます。

前者は、刺したり、切ったり、ぶつけたり、そんなときに感じる痛みですね。後者は肩こりの時に感じる痛みだとか、ケガをして傷めた後、何年かして寒くなると疼くとか、腰が痛かったのが慢性化して、だるいような重たいような、そんな時に感じる痛みです。

この違いは何かというと、痛みを伝える神経に違いがあるのです。
前者はAδ(エーデルタ)繊維というものを伝わり、後者がC繊維というものを伝わります。

痛みは電気信号で伝わるのですが、Aδ線維というのは、ソーセージが何個も連なったような繊維で、電気信号がその膨らみを飛び越えて伝わるので、早く脳に伝わります。それだけ危険な痛みですよってことです。早く知らせてやらないと大変なことになるといのをわかっているんですね。

一方、C繊維は一本の電線のような繊維なので、その線をゆっくり電気信号が伝わります。そんな緊急を用しないということですね。

人間というのは凄いもので、痛みを抑制する機構を備え持っているんです。手を切ったとします。もちろんAδ線維を伝って鋭い痛みが脳に伝わるのですが、痛み全てを身体が引き受けるとパニックを起こしたり、痛みでショックを起こしてしまうので、ある程度痛みを制御するんです。

人間凄いですよね~。誰にでも備わっているものですからね。

痛みを抑制する機構はいろいろあります。
まずは脳です。
局所伝わった痛みは、脊髄に入り、上に上がって脳にやってきます。脳の中脳や延髄といわれる所に痛みを抑制する機構があり、痛みが上がってきた時点で抑制機構が活性化され、痛みを鎮めろ!と指令を送ります。その指令は、脳から脊髄を下り、脊髄でセロトニン、アドレナリンという痛みを抑える物質を放出します。それが局所にいき、痛みを抑制するのです。難しい言葉でいうと「下行性疼痛抑制」といいます。

治療の原点「手当て」
小さい頃、身体が痛い時や辛い時、その場所を親にさすってもらった経験があると思います。不思議なもので、さすってもらったり、押えてもらったりするだけで、痛みが緩和しませんでしたか?親の手から気が出ているわけではなく、身体に備わっている鎮痛機構が働いている証拠なのです。

身体には痛みの種類を見分ける「門」のようなものがあって、鋭い痛みは通っていいよ、鈍い痛みも通っていいよと門を開けるんですね。だから痛みを感じる、上で書いたAδやC繊維のような細い繊維を通る刺激は門を開けるようです。
手で押さえたり、さすったりという刺激(触圧覚)は、Aβ繊維という太い繊維を刺激が通るのですが、そういう太い繊維を伝わる刺激は、さっきの門を閉じてしますんです。つまり、痛みの刺激が脳に上がっていかなくなるんです。専門的にいうと「ゲートコントロール」といいます。

目には目を、歯には歯を、痛みには痛みを
ケガして痛みがある時に、それを紛らわせるために自分の身体をつねったり、拳で叩いたりした経験はありません?あれも立派な鎮痛機構です。さすったり押えたり、つなったり、殴ったり、人間は本能的に痛みを抑えるようになっているんですね。
3の強さの痛みがあった場合、それ以上の強さでつねったり、叩いたりすると、痛みがある程度治まります。これは「広汎性侵害抑制調節」といいます。
ただこれは、痛みを抑えられている時間は長くないので、すぐに痛みが戻ってきます。だから何回も叩いて、叩いてってなことになっちゃいます。

ランナーズハイ
長距離を走っていると、気分が高まり痛みや疲れを感じなくなることがあります。脳内モルヒネなる物質が出て、強い鎮痛作用を発揮します。少し前に脳内革命って本がありましよね。それでも書かれていたと思いますが、運動や疲労、緊張状態などのストレスが続くと、脳の視床下部というところが刺激され、それにより交感神経が高まり、カテコールアミンなどの鎮痛作用の強い物質が分泌され、痛みを抑えます。
さらに、視床下部が下垂体を刺激して、副腎皮質刺激ホルモンやβエンドルフィンを分泌します。ちょっと話がややこしくなってくるのですが、副腎皮質刺激ホルモンが副腎皮質を刺激して、コルチゾールという炎症を抑える物質を分泌します。βエンドルフィンはモルヒネに似た鎮痛物質です。

長期間繰り返されるストレスは身体によくありませんが、短期的なストレス(種類にもよるが)は鎮痛物質が分泌され、痛みを抑えることが出来ます。

ほかにもありますが、このようにいろいろな痛みを抑制する機構が働き、痛みを自分自身でコントロールするわけです。当然この痛みを抑える機構も個人差があるので、その機構が活発に働く人もいれば、そんなに働かない人もいるのです。そのために、痛みの感じ方に違いが出てくるんですね。
また、脳にある痛みを感じる場所は、不安や恐怖などの感情と関係する部位とも密接に関わっているため、不安や恐怖など精神的に弱い時にケガや病気をすると、強く痛みを感じます。

中には、この痛みを抑制する機構がうまく働かないために、ちょっとの痛みでも、大きな痛みとして感じる状態にある人もいます。ケガや手術、感染やストレスなどが原因で鎮痛物質の出る量が少なくなったり、抑制機構が働かなくなります。
線維筋痛症、慢性疲労症候群などの慢性疼痛といわれるものになります。

ちなみに鍼灸治療は、このような痛みを抑制する機構を活発にさせるといわれています。わりと科学的にも検証が進んできているわけです。まじないの世界ではないんですよ~。(笑)

今度は最近増えている、線維筋痛症についても書いてみようと思います。



2 件のコメント:

  1. いきなりごめんなさい。
    質問があります・・!
    「人は何の痛みに一番早く反応できますか?」
    大脳にいかない反射はおもに熱で起こるとおもいます。
    たとえば、ドアに指を挟んで、ぬいた。という動作は反射には加わりますか?正直、「かゆみ」といった痛みは反応がおそいと思います。
    現在中学2年生です。できれば、わかりやすく教えていただけると嬉しいです。教科書には書かれていません。塾の先生が言うには「熱」を一番はやく「せきずい」で感じ取り、反応するといわれました。
    また、「反射」でなくても、とにかく、一番早く感じとり、反応する、痛みは「熱」なのでしょうか?

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  2. ��かえらさん
    こんにちは。質問ありがとうございます。
    質問していただいた反射は「逃避反射」といわれるものですね。もちろん反射に加わります。
    Aδ線維という神経線維が鋭い痛みを伝えるのですが、熱い、冷たいなどの感覚も、同じAδ線維を伝わりますので、同じスピードで伝わります。
    熱さは43度を超えると、冷たさは-15度を下回ると、痛いと感じるといわれていますので、同じ線維を伝わっているのが実感できるのではないでしょうか。
    本能的に「ヤバい」と感じるものは、早く身体に伝えないといけないので、違う刺激でもスピードは変わらないといことです。
    違いを感じるのは、その感覚の刺激量の違いもあるのではないでしょうかね。

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