2013年2月13日水曜日

ヘルニア

 最近、腰椎椎間板ヘルニアと診断された方が、来院されることが多いように思います。

腰痛や坐骨神経痛といった運動器疾患を得意としているとHPにも書いているので当然かもしれませんが、こういうのって重なるものでね。同じ疾患の方が続いたりします。

胃下垂の治療がやけに多かったり、頚椎症と方が多かったりと。ブログなんかで記事を書いたからってのも関係するかもしれませんけどね。

さてこの腰椎椎間板ヘルニア、一般の方にも知られている疾患ですが、いろいろと論争のある疾患でしてね。

ヘルニアというのは、Wikipediaにもありますが、「体内の臓器などが、本来あるべき部位から脱出した状態を指す」とあります。

腰椎椎間板ヘルニアは、腰の骨と骨の間にある、椎間板といわれる軟骨から、髄核といわれるものが飛び出した状態です。これがまた曲者でして、髄核が軟骨を突き破っているものもあれば、突き破らなくても膨らんでいるだけのものもあります。その突出や膨らみが、神経を刺激して、痛みやしびれ、筋力の低下などが出てる状態が腰椎椎間板ヘルニアとして診断されます。


ただ画像所見(レントゲン、MRI)では、このようなふくらみや突出があっても、症状が出ない方もいます。海外のある調査では、腰に痛みがある方と、腰に痛みがない方の画像を撮って調べたところ、痛みのない方でもヘルニアは見られたそうです。

実際にヘルニアがあって痛みがある人もいれば、ヘルニアがあっても痛みのない方もいるということですね。以前勤めていた病院の医師もおっしゃってましたが、レントゲンやMRIは診断をする上での一つの判断材料でしかないから、患者さんの訴えや触診、徒手検査など、様々な情報から診断するので、画像にこだわりすぎると、必ずしも正確な診断ができるとはいえないと言っていました。

さて腰椎椎間板ヘルニアですが、日本整形外科学会から出ているガイドラインが改訂されました。

特に鍼灸のことが書いているわけではありませんが、最新の動向はチェックしておかなければということです。

ここで目に留まったのが、

環境因子やスポーツとヘルニアに関する因果関係は明らかでないということ
自然退縮する特徴について
診断のために問診や病歴が重要で、特に疼痛の部位と分布領域。

従来、重労働者(職業ドライバー、金属・機械業労働者)、子供を頻繁に持ち上げる動作、スポーツ、喫煙は、ヘルニアになるリスクが高いという報告があったのですが、そういった関与を否定する論文もあるそうで、因果関係は不明なんだそうです。

こういうのもあって、腰痛とヘルニアは関係ないと断言する方も多いんです。

「診断のために問診や病歴が重要で、特に疼痛の部位と分布領域」
前から言われていることですが、一般に足に痛みやしびれがあり、それがどの部位に分布しているか、というのが重要なとされています。

その中でも
下腿(ふくらはぎやすね)まで放散する痛み
神経根(腰の骨(5個))の走行に一致する部位の痛み

といった具合です。
腰痛の8割は原因不明といわれています。そのために、ヘルニア=腰痛の原因というように結び付けている部分も多いのだと思います。

さて、鍼灸でヘルニアは治るのか、これも微妙なところです。

ヘルニアによる痛みであれば、なかなか難しいのですが、ヘルニアと診断されても、ヘルニアによる痛みでない場合は効果はみられます。
ややこしいのですが、上でも述べたように、ヘルニア=腰痛ではないので、ヘルニアであっても腰痛の原因となっていない場合もあるためですね。

なので、治療してみないとわからないということです。腰以外にも臀部が原因のこともありますので、お困りの方は是非お試しいただきたいと思います。

 



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