耳鳴りや突発性難聴の治療に用いられるツボです。
場所は、耳たぶの裏側にある下顎骨と側頭骨の間にある凹んだところです。
翳風の翳という字は、隠すとか蔵すという意味で、風は風証に関わる場所ということを示しています。
風というと、風邪がわかりやすいですね。風の邪が体に入ることにより、発熱、悪寒、全身のだるさ、鼻水などの症状が出る。
字の如く、風が全身を駆け巡るので、全身がだるくなる、関節が痛むなどの症状が出る。イメージです。扇風機でずっと風を浴びていると、乾燥して喉、鼻、目、体の水分が奪われると、免疫などを司る粘膜が乾燥するとウイルスが体に入りやすくなります。
風邪のウイルスは冬場や乾燥している時に猛威をふるうので、風のイメージと合致しますね。
中国では、脳梗塞、脳出血のことを中風といいます。
病気の症状として、急に倒れるので、風で倒されるようなイメージ、中は真ん中や中心ですから、1本の棒のように立っている人が真ん中から折れる、倒れる。そんなイメージですね。
風というのは、目に見えません
ピューと風がふく
風圧を感じる
砂嵐のように、チリやごみを巻き上げているものをみる
風のヒューヒューと、耳の関わりです。無理からでしょうか?(笑)
キーンとかジーッとかそういう音は、風によってもたらされたと思っても不思議ではありません。
実際、風邪を引いたとき、耳鳴りがすることがあります。鼻づまりや、熱により、耳がくぐもってしまったり、聞こえにくくなったりすることもあります。
耳鼻咽喉科というくらいですから、耳鼻喉は密接に関りがあります。全て繋がっているので、一つやられると全てに影響が出ます。患者さんの中にも、風を引いたら耳鼻科にいくという方も多いですね。
古代の人は、そういった関連から風との関わりを考えたのかもしれません。
さて、この場所。イメージだけではないんです。
この奥には、脳から出る、顔面神経、舌咽神経、三叉神経、迷走神経、副神経が通ります。また、脳にいく椎骨動脈或いは頸動脈も通ります。
耳鳴りや難聴は、耳でも内耳といって、耳の奥の問題がほとんどなのです。なんらかの影響で内耳にある有毛細胞に支障をきたす。耳の奥なので、直接のアプローチというのはできないんです。鍼灸に限らず、現代医学でも同じです。
椎骨動脈の血流改善が内耳にいく迷路動脈の血流の改善につながると考えられていますが、確かなことはわかっていません。
直接アプローチできないのですが、舌咽神経や顔面神経の枝が中耳の鼓室を通っていたり、内耳道で顔面神経と内耳神経が隣接していたりと、なんらか刺激が送れるのではないかというところです。
刺鍼は、5㎝くらいいれる場合もあるのですが、細かい血管や神経もあるので、敏感な場所でもあります。
ここの刺鍼は苦手というかたもいらっしゃいます。
うちの師匠は、2寸(6cm)の鍼を入れて、耳の奥に響かないと効果はないと言っているのですが、皆さんがそれをできるわけではないので、深さに拘らず試してもいいのではないかと思います。
苦手意識を持ったまま刺鍼して、患者さんに痛い思いをさせて、効果がないで終わっていたら元も子もないです。
頚部、顎部の緊張を取る。
リラックスしてもらう
しっかりとここをクリアするだけでも、効果の出る方もいます。
また、耳鳴りや難聴の憎悪因子をしっかりと説明して、そういったものになるべくさらされないようにしてもらう、それだけでも随分と違うと思います。
或いは、深く刺鍼するほうがいいですが、翳風にパイオネックスなどの皮内鍼を貼って試してもいいのではないでしょうか。
治療法に囚われすぎないように、柔軟に対応していただければと思います。
大阪吹田-江坂駅の鍼灸院
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