膝がまっすぐ伸びないのです。
クラシックバレエをする患者さんから、こんな相談をされました。実際に診てみましたが十分伸びています。はい一般人の視点ではそのように見えますが、バレエではそういうわけにはいかないようです。患者さんのイメージでは、やや反張膝になるくらいがまっすぐ伸びているというイメージなのかもしれません。或いは、踊りの中での伸び具合などが重要です。
膝をまっすぐ伸ばす
大腿四頭の収縮、ハムストリングスの伸展
足を上げた状態での膝の伸展
股関節が屈曲した状態で、膝を伸ばしています。
足をより高く上げようとすると、膝を若干屈曲したほうが、高く上がります。これは、受動的機能不全によるものです。
立位で、足を伸ばしたまま、写真のように上げてみてください。まっすぐ伸ばしたままですと、硬い方はすぐに限界に達します。で膝を曲げるとどうでしょう?高く上がります
大腿四頭筋は股関節の屈曲と、膝関節の伸展を行う、2関節筋です。この相反する作用を行うことをロンハード・パラドックスといいます。
大腿四頭筋が収縮したら、股関節の屈曲と、膝関節の伸展をするんやから、引っ張りあって動かないやん??
それをうまく解決してくれるのが、人間のすごいところです。大腿四頭筋の場合、膝関節の力の比率が高いので、膝の伸展のほうがしく、股関節の屈曲がしにくくなっています。そのため、膝を伸ばしながら股関節を屈曲させると、股関節が弱いので上りが悪い。
膝を曲げることによって、大腿直筋の力の比率を股関節にもっていけるので、股関節の屈曲がしやすくなる。
足をもっと高く、まっすぐに上がる
これを意識すると、上に挙げた反応のために、無意識に膝を曲げてしまうということになります。
悩ましいですね。
さて、ネットにもあれをやれ、これをやれと色々な情報が溢れているので、どれをやったらいいのか、いや私は全部やっているという人もいるかもしれません。それぞれ症状が違うので、どれが正しいかはその人次第なので難しいものです。
一般的には、足の後ろ側の柔軟性をアップさせよう。
ハムストリングス、ふくらはぎ
間違ってはいませんが、体の柔軟性の問題というのは、一か所が固いからという安直な問題ではありません。
例えば、わたくし。子どもの頃から、体が超絶固い。野球やラグビーをやっていましたが、ストレッチ、柔軟の時間は苦手でした。少年野球の時はペアになって、押し合いをするんです。地獄でした。しかもキャプテンでしたから、円の真ん中でやっていますが、なんの見本にもならないし、ヒーヒー言うている姿にはなんとも哀れなものがあったのではないでしょうか。
で立位前屈する。手が地面につかない…。
ハムストリングス、ふくらはぎの固さだけでしょうか?
足首は?お尻は?骨盤は?背中は?
全部固いんです。つまり、それらも緩めて初めて柔らかくなる。面倒でしょう。さらに冒頭でも言っていた筋力の問題、それらを支える力、持久力がないと、すぐに固くなり機能しなくなってきます。
膝をまっすぐ伸ばすに関して、重要なところに絞っていこうと思います。
まずは、骨盤の問題です。前傾していますか?後傾していますか?バレエをやる人に多いのは骨盤の前傾でしょうか?背筋をまっすぐに伸ばす意識のせいで、つい反り腰になってしまいます。
左が前傾です。骨盤に引いてい重心ラインが前に傾いています。極端に言うと骨盤が前傾すると、股関節が軽度屈曲します。この記事の冒頭で書いたことを覚えています?
股関節の屈曲は、大腿四頭筋(厳密にはこれだけではありません)が担っている。大腿四頭
筋は、膝関節の伸展も担っている。
力の比率的には膝関節の伸展のほうが大きいのですが、股関節が軽度屈曲していることにより、比率が股関節よりになってしまいます。そうなるとどうなるか。
膝が伸びにくい
ということになります。では、股関節の前傾をどう改善するかです。
腸腰筋
中殿筋
小殿筋
大腿四頭筋
股関節を前傾させる筋肉になります。これらを使いすぎている、疲労で固くなっている、柔軟性が乏しいと骨盤が前傾していきます。
インナーマッスルにも刺鍼できる北京堂の鍼は効果的です。
冒頭の患者さんには、これらにプラス膝裏にある、膝窩筋に刺鍼を行いました。この筋肉は、膝関節の内旋と屈曲を行います。
内旋と膝関節の前のずれを止める、大腿四頭筋が機能しなくなってきたときに重要な筋肉です。
バレエでは、ピンっと足先を伸ばす際、若干内旋させませんか?膝裏結構使っていませんか?
こちらの筋肉のお話は次回にさせていただきます。
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